「こころ」の視聴率を考える

〜NHK朝の連続テレビ小説過去5年の作品との比較〜

 2ちゃんねるで「『こころ』の視聴率は高いから良い」と言う人がいるけど、それは本当なんだろうか?
 ということで検証してみます。

各週データは、週内最高視聴率(関東地区)
ビデオリサーチ調べ
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平均視聴率 22.5 26.2 24.4 24.1 20.5 22.2 22.6 23.3 20.7 21.3
最高視聴率 26.3 30.4 27.6 28.3 24.0 29.3 25.1 27.5 23.6 26.0
初回視聴率 24.0 23.1 25.9 23.9 23.2 21.3 23.1 20.3 20.3 22.5
第 1週 24.3 25.4 27.2 24.5 23.2 22.0 23.1 21.5 22.2 23.8
第 2週 26.3 26.3 27.6 25.0 22.1 22.9 22.9 23.1 22.4 23.4
第 3週 25.3 26.6 24.0 24.8 22.2 21.4 23.7 22.9 22.2 23.1
第 4週 24.8 26.6 25.3 25.7 24.0 23.2 23.1 22.9 21.3 22.9
第 5週 23.9 26.4 26.5 25.5 22.5 23.8 22.5 22.8 21.6 23.3
第 6週 25.6 26.6 27.0 25.1 22.7 23.2 23.1 23.2 22.0 23.1
第 7週 23.7 26.9 26.9 24.1 22.6 21.7 23.6 23.4 21.1 21.8
第 8週 24.5 27.0 25.4 23.9 21.6 22.3 24.4 24.2 21.2 22.0
第 9週 22.9 27.3 25.5 23.4 22.3 22.7 25.1 24.2 21.2 24.8
第10週 22.3 28.9 25.6 23.6 22.2 22.6 24.6 24.5 22.2 23.1
第11週 24.1 27.1 25.4 26.0 21.9 23.1 24.1 24.5 21.5 22.0
第12週 22.9 27.9 25.2 23.0 21.5 22.9 24.6 24.1 23.6 22.6
第13週 20.7 28.0 22.8 25.8 19.7 24.1 24.6 24.2 21.4 23.7
第14週 22.2 27.5 24.3 28.3 20.8 23.0 19.9 26.0 21.7 22.4
第15週 22.8 28.5 24.8 25.8 21.9 23.5 24.4 26.0 22.6 21.4
第16週 22.3 27.9 26.4 25.9 20.7 22.5 24.7 27.0 22.3 22.0
第17週 23.9 26.8 25.3 26.1 22.2 24.4 24.2 25.2 22.4 26.0
第18週 22.7 28.1 23.9 26.0 21.9 24.4 24.1 24.0 22.6 21.0
第19週 23.9 26.9 24.4 25.8 22.4 23.4 24.9 24.7 21.8 25.8
第20週 24.5 27.8 25.4 24.9 22.2 22.7 24.9 24.5 22.6 21.9
第21週 23.7 27.1 26.0 26.1 21.4 28.4 23.5 26.5 22.4 20.8
第22週 24.3 28.9 26.3 27.8 21.3 24.9 22.8 26.1 23.0 22.0
第23週 25.8 27.4 26.6 26.8 22.2 26.2 23.3 25.6 22.0 22.2
第24週 23.2 30.4 27.3 26.4 21.0 29.3 22.6 26.6 22.4 23.1
第25週 23.9 29.2 26.5 26.1 21.5 25.7 22.2 24.9 23.4 22.6
第26週 − 30.2 − 25.4 21.3 26.7 24.5 27.5 − 24.0
週間最高平均 23.8 27.6 25.7 25.5 21.9 23.9 23.7 24.6 22.1 22.9
最高平均−平均 1.3 1.4 1.3 1.4 1.4 1.7 1.1 1.3 1.4 1.6
平均−初回 -1.5 3.1 -1.5 0.2 -2.7 0.9 -0.5 3.0 0.4 -1.2
  の縦列は、NHK東京(AK)製作。他は、NHK大阪放送局(BK)製作。
  は、最高視聴率週。

グラフ一覧
朝の連続テレビ小説 視聴率の変遷(1964/4〜2003/9) 図1
週別最高視聴率の変化(やんちゃくれ〜こころ) 図2
週別最高視聴率の変化(図2のうち、春開始ドラマのみ) 図3
週別最高視聴率の変化(図2のうち、秋開始ドラマのみ) 図4


 NHK朝の連続テレビ小説は、視聴率20%超えが当たり前の数字である。ところが、特にここ数年は25%を切るようになり悪化の一途をたどっている。(図1参照)
 オウム事件以来、民放の情報番組に視聴者を取られたり、主婦の在宅率の減少したりというのも理由の1つなのだろう。さらに、BS放送の普及(上記は8時15分開始の総合テレビのものであり、12時45分からの再放送や7時30分からのBS2・BS-hiの視聴率は含まれていない)も理由にあるかもしれない。ただ、それだけが理由ではないと思う。ドラマの内容(ほとんどの場合、女性の半生記を取り上げている)にも原因があるのではないだろうか?
 また、秋開始のドラマは、現在、大阪放送局(BK)制作のものであるが、若干、春開始のドラマ(東京制作)よりも平均視聴率が落ちる傾向にある。これは、しばしば制作局の違いと誤解されるが、東京(AK)が秋開始のドラマを作ったことが過去に2回(「ひらり」・「かりん」)あったが、その時も、春開始ドラマ(BK)>秋開始ドラマ(AK)の傾向は変わらなかった。
 したがって、朝ドラの視聴率には、季節的要因が大きいと思われる。

 こうした前提条件を踏まえた上で、上記の表を検証してよう。
 この表は各週内の最高視聴率を示すものであって、平均視聴率ではない。したがってビデオリサーチ発表の週間ベストテンに、同じ視聴率で2日分がランクインすることもある。
 上記の表をグラフにしたのが、図2である。回が進むにつれて視聴率が上昇傾向にあるものや下降傾向にあるものがあり、ドラマによってまちまちであり一般的な傾向は分からない。
 ところが、開始季節別(制作局別)に分けると、非常に分かりやすくなる。
 春開始ドラマ(東京制作)は、後半に向けて上昇傾向が大きい(図3参照)。これは子供の夏休みが関係しているのかもしれない。
 秋開始ドラマ(大阪制作)は、途中で大きく下げ、復活しないままに終わる傾向にある(図4参照)。これは年末年始が大きく影響している。例年、第13・14週頃に年末年始の放送休止が入るために視聴率が大きく下がり、年が明けても、数字に復活しないままになってしまうようだ。
 こうして考えると、視聴率の変化傾向は、内容にはあまり関係なく、季節に依存しているようである。それゆえ、キャストや雰囲気で決まる初回の視聴率が、最後まで大きく影響すると言えよう。

 さて「こころ」の視聴率について考える。平均視聴率は「走らんか!」・「オードリー」・「まんてん」に続きワースト4に入ってしまった。春開始のドラマに限定すれば、最下位である。細部について、以下の3点に注目して検討してみよう。
 1.最高視聴率の要因 / 2.初回視聴率と平均視聴率の関係 / 3.平均視聴率の推移

1.最高視聴率の要因
 週間最高視聴率の上位4つは、天災(台風・地震)によるものであった。ただし、天災の日に最高視聴率を樹立するのは、朝ドラの場合は決して珍しいことではないので、これだけでは一概には評価できないと思われる。
 天災を除いた最高視聴率は、第1週(23.8%)になる。これは、第2回(4月1日)放送である。この回には、客から「かけるもの」を頼まれたスチュワーデスが、ハンガーやらペンやらノートやらを持ってくるという非常に寒いシーンがあった(客は毛布が欲しかったのだが)。これが最高視聴率ということは、それ以降は下がってしまったという意味でもある。ひょっとして、このシーンでつかみに失敗してしまったのか?

2.初回視聴率と平均視聴率の関係
 平均視聴率は、初回視聴率に比べて1.2%も下回ってしまった。これは「ほんまもん」以来3作品ぶり。1%を越える下げ幅になったのは、「オードリー」以来5作品ぶりである。
 春開始のドラマ(放送期間が半年のもののみ)で、平均視聴率が初回視聴率に届かなかったのは、「ぴあの」(1994年4月開始・BK制作)以来、8作品ぶりの出来事となった。
 さらに、AK制作の春開始ドラマで比較すると、平均視聴率の初回割れは「ロマンス」(1984年4月開始)以来、実に14作品ぶりになる。ちなみに「ロマンス」は「おしん」の次の作品であった。かなり前のことだと思うのは、私だけだろうか?

3.平均視聴率の推移
 週間最高視聴率は一般人でも分かるが、途中の平均視聴率は一般人には分からない。そのため、時たま新聞や雑誌で紹介されるのが唯一知る機会となる。私が確認できたのは、以下の数字のみであった。これに漏れがあったら、連絡願いたい。
期間 平均視聴率 引用元
第3週の木曜日まで 22.4% 「サンスポ」
第7週の土曜日まで 21.8% 「夕刊フジ」5月20日号
第10週の火曜日まで 21.8% 「サンデー毎日」6月22日号
第18週の土曜日まで 21.4% 「週刊ザ・テレビジョン」34号
第26週の土曜日まで 21.3% ビデオリサーチ・NHK等
 一番下のものが最終週までの数字である。見事なまでに単調減少(厳密には単調非増加)である。
 素人考えではあるが、評判が良ければ視聴率というのは段々と上がっていくものではないだろうか? まして「こころ」は、天災による高視聴率が後半に多かったのだから、なおさらその傾向は強いと思うのだが。
 ビデオリサーチのページに様々な連ドラの最高視聴率が載っているが、最終回が最高になっているものが非常に多い。 しかし「こころ」の場合、徐々に落ちていっている。このことの意味は何なのだろうか?

 以上のことをまとめると、以下のような結論になる。
1.春(4月)スタートのドラマとしては、史上最低の視聴率を記録
2.放送が進むにつれて視聴率は下がり続け、平均視聴率は初回視聴率を大きく下回った
  (春開始のドラマとしては、久々のこと)

 はっきり言ってしまえば、「こころ」の視聴率は低かったのである。よくもこんな数字で「高視聴率」と主張できたものだなあ。呆れはててしまい何も言葉が出てこない。

※ビデオリサーチによると視聴率の数字は作品の出来を示すものではないとのことです。

2003/7/17 第1版
2003/10/5 第2版

<備考>
 ・「こころ」の視聴率で下線があるのは、天災により高視聴率になったものを示す。
   1.第 9週(24.8%) 午前5時頃に台風4号が愛媛県宇和島市付近に上陸した日の視聴率
   2.第17週(26.0%) 午前7時13分頃に宮城県北部で震度6強を記録した地震が発生した日の視聴率
   3.第19週(25.8%) 午前6時頃に台風10号が兵庫県西宮市付近に上陸した日の視聴率
   4.第25週(24.0%) 午前4時50分頃に平成15年(2003年)十勝沖地震が発生した日の視聴率
 ・朝日新聞に掲載された「こころ」視聴率に関する記事の紹介はこちら。
 ・「週刊ザテレビジョン」に掲載された「こころ」視聴率に関するコラムの紹介は、こちら。
 ・NHK経営委員会で明らかになったドラマの評価方法の紹介は、こちら。 2005/1/22 New!!



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