「こころ」の視聴率を考える

〜マスコミの報道姿勢に疑問あり〜

 視聴率というものは一般受けしやすいのか、 最近の新聞のテレビ欄には、視聴率の週間ランキングが掲載されるようになった。 (昔は、全国紙にはなかったと思うのだが、いつの頃から始まったのだろうか?)
 そこに同時にコメントを掲載する新聞もあるのだが、そのコメントが頓珍漢なものもある。 それを紹介しようと思う。




1.朝日新聞(東京本社版)

 朝日新聞社(東京本社)は、2003年7月31日(木)の朝日新聞の朝刊に、以下のような記事を掲載した。

 NHKテレビ小説「こころ」(26日)が、放送開始以降、最高の視聴率。 こころの母親美佐子(伊藤蘭)が花火職人の元夫、沢朗(寺尾聡)と 16年ぶりに再会、しみじみとした感動を呼びました。 前年度の 「さくら」の最高視聴率は27.5%、「まんてん」は23.6%でした。

 確かに、7月26日(土)は、放送開始以降、最高の視聴率(26.0%)であった。 それは間違っていない。 「さくら」と「まんてん」の最高視聴率も間違っていない。
 でも、何だか違和感が残る記事だ。何がおかしいのだろうか?

 「こころの母親美佐子(伊藤蘭)が花火職人の元夫、拓朗(寺尾聡)と 16年ぶりに再会、しみじみとした感動を呼びました。」
 はぁ? 何だかよく理解できなかったので、もう一度、読んでみよう。
 「しみじみとした感動を呼びました」
 はあぁ? 何を言っているのだ? この朝日の記者は。

 この記事に違和感を感じる理由は、以下の3点にあると思う。
1.内容に関する理解のなさ
2.視聴率に関しての無理解
3.視聴率に関する誤解

 1番目に関しては、ここで論ずることではないので省略する。 ちなみに、そこらのドラマ関連サイトをざっと見る限り「しみじみとした感動を呼んだ」という類の感想は全くない。
 2・3番目に関して、少し考えてみようと思う。

 この日は、深夜の午前0時13分頃、宮城県北部を震源とするM5.5の地震が発生し、震度6弱を記録した。 さらに、午前7時13分頃、同じく宮城県北部を震源とするM6.2の地震が発生し、最高で震度6強を記録した。
 このため、午前7時30分からの予定だったBS-2での放送が中止になった。 だから、午前8時15分からの地上波の視聴率が増えたのかもしれない。
 けれども、地震関連の最新情報を見たくてNHK総合を見ていた人が多かったから、 視聴率が上がったと考えるのが自然な考え方というものである。NHK総合ならば、何かあれば必ず字幕が出る。 事実、「何故、こんな時に悠長にドラマなんかやっているんだよ」と思っていた視聴者もいたのである。

 この日の放送の視聴率上昇の原因が地震にあるのは、視聴率の変遷でも明らかである。
 日本テレビで放送された「TVおじゃマンボウ」によると、 この週の月曜日〜木曜日の視聴率は、21.9%以下であったそうである。
 また、この週の前週と翌週の週間最高視聴率は、それぞれ22.0%と21.0%である。
 これだけの証拠が残っていて、どうしてあの日だけ「しみじみとした感動」が理由で高視聴率になるのだろうか?

 さらに、この記者は「さくら」・「まんてん」の最高視聴率を掲載した。 この1文で、記者は何を主張したかったのだろうか? 『「こころ」は「まんてん」よりも素晴らしいドラマだ』ということか? 記者自身が意識したかどうかは知らないが、少なくとも、そう解釈する読者は多いと思われる。
 しかし、視聴率が番組の良し悪しを示さないなんて、いわば常識であろう。 テレビ画面がついてさえいれば視聴率は上がるのだから。 視聴率を調査しているビデオリサーチでさえも 「視聴率は、視聴量の大きさを示すひとつの尺度。 しかし、必ずしもテレビ番組そのものの価値や質を、直接的に表すものではありません」と明言している。
 この記事は、視聴率が何物なのかを全く理解していないお馬鹿さんが書いたように思われる。

 この記者は、実際は「こころ」を全く見たことがないのではないか? そして、地震の存在にも気付かずに「視聴率ランキング」だけを見て記事を書いたので、 こんなに頓珍漢な記事になってしまったのだと思う。
 プロの記者として全く情けない話だし、こんな嘘っぱちを見抜けないデスクもひどいものである。

 ところで、東京本社の制作する朝日新聞の発行エリアは、どこだろうか? 調べてみて驚いた。関東地方はもちろんのこと、東北地方・信越地方まで含まれるのだ。 当然、この地震の被害にあった宮城県も含まれる。
 実際のところ、テレビ欄は、地方に行くと各県ごとに異なるものである。 だから、このコラムの載った新聞が宮城県に届けられたかどうかは私は知らない。 でも、あまりに非常識すぎないか?

 さすが、自社のカメラマンが故意に傷つけた珊瑚礁の写真を1面に掲載した新聞社ですね。 大変、寒心しました。



 さて、このページ、まだまだ続くことになるのか?
 こんなページ、続けたくないのが本音だが。



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